渋沢栄一記念財団 実業史錦絵絵引
シリーズ:衣喰住之内家職幼絵解之図
絵の内容は、屋根に漆喰(しっくい)を塗り、軒先に竹の樋(とい)を付け外壁板壁を塗装するなど工事の仕上げの様子を描いている。説明の最後に「此篇までにて家造りの一通りをしる也」とあって、以上で家造りのひと通りのことがわかったはずだと述べている。
図には三種類の職人が描かれているが、一枚の図の中で職種を説明しているだけで、この三種の職人が同時に働くのはよほどの突貫工事でもない限りまずありえないだろう。工程の説明ではなく職種の説明なのである。
いずれにせよ、この後、足場を取り払い、建物周辺を整備して工事は完了となる。
家根(やね)じつくゐとて、瓦(かハら)のすき/を雨(あめ)のまわらぬよふにぬる/も左官(さくわん)の仕事(しこと)なり、鬼瓦(おにかハら)も/好(この)ミにて家号印(やごうのしるし)又は紋所(もんところ)/なぞ差別(さべつ)あり
とひといふて/木(き)をくりたるも/あり、大(たい)ていは大(あふ)き/なる竹(たけ)をふたつ割(わり)/にして、ふしぶしをよく/けづり、のきさきへはり/かねにてとめる、しぜん/家根(やね)より落(おち)る雨水(あめミづ)を/うけるためなり
渋(しぶ)ぬりハ、家(いへ)のそと/まわりを、好(この)ミに随(したが)ひ/生渋(きしぶ)又ははい墨(ずミ)を入(いれ)て/ぬるも、雨(あめ)のしぶきが/かゝりても木のくさらぬ/ためなり
此外(このほか)塗家(ぬりや)土蔵造(どそうつくり)など、/品々其人(そのひと)の好(この)ミあれども、/此職方(しよくがた)ニて出来(でき)るゆへ、此篇/までにて家造りの一通りをしる也
屋根漆喰といって、かわらのすきまに雨が廻らぬようにするのも左官の仕事である。鬼瓦も好みによって家号の印や紋所など色々ある。
樋といって木をくりぬいたものもある。たいていは大きな竹を二つ割りにして、節をよく削り、軒先へ針金で止める。自然に屋根から落ちる雨水を受けるためのものである。
渋塗りは、家の外廻り(外壁など)を好みにしたがって生渋や灰墨を入れたものを塗る。雨のしぶきがかかっても木が腐らぬようにするためである。
このほか、塗屋造りや土蔵造りなど色々と人の好みに従って建物には種類があるが、それぞれ専門の職種の職人によって作ることができるので、以上述べてきたところで、家造りの一通りを知ることができよう。
※画像アイコンにカーソルを合わせると、右の作品画像に位置が表示されます
| 画像 | 図像・事物 | カテゴリー |
|---|---|---|
| 左官 | 人物 | |
| 左官の小僧(手伝) | 人物 | |
| 雨樋を作る職人A | 人物 | |
| 雨樋を作る職人B | 人物 | |
| 柿渋を塗る職人 | 人物 | |
| 鏝 | モノ・道具 | |
| 漆喰 | モノ・道具 | |
| 渋を入れた桶 | モノ・道具 | |
| 刷毛 | モノ・道具 | |
| 鋸 | モノ・道具 | |
| 鬼瓦と影盛り | モノ・道具 | |
| 降り棟 | モノ・道具 | |
| 瓦 | モノ・道具 | |
| 棟瓦 | モノ・道具 | |
| 竹樋 | モノ・道具 | |
| 下見板と押縁 | モノ・道具 | |
| 渋を塗った下見板 | モノ・道具 | |
| 足場 | モノ・道具 | |
| 歩み板 | モノ・道具 | |
| 針金 | モノ・道具 | |
| 印半纏 | よそおい | |
| 草履 | よそおい | |
| 草鞋 | よそおい | |
| 脚絆 | よそおい |