渋沢栄一記念財団 実業史錦絵絵引
シリーズ:衣喰住之内家職幼絵解之図
建物を建てる位置が決まるとその周辺に杭を打ち水平に板を廻す。この板は水平であることが重要で、建物が歪んだり傾いたりしないための基準である。水平な板なのでこれを水貫(みずぬき)あるいは遣形貫(やりかたぬき)という。
水平は水盛という作業で知る。細長い箱に水を張り、この水面から等距離に保っておけばその糸は水平のはずである。箱に水を入れるのを水盛、水平な糸は水糸という。水糸を基準に水貫を建物周辺に廻すのである。以上の作業を総合させて水盛遣形という。
奥では基礎にする石を石工が調整している。基礎は壁位置などの主要部に帯のように配置する。これを布基礎という。柱の下だけに基礎を置く場合は独立基礎と呼ぶ。
第七
石工(いしく)の普請(ふしん)につかふ/石(いし)は、伊豆(いづ)の山(やま)にて/いしきりといふものが/切出(きりいだ)すを、船(ふね)にて所々(しよしよ)/の石屋(いしや)へ積来(つミく)るを石工(いしく)が/かたきやわらかきの生(しやう)/合(あひ)また寸尺(すんしやく)を見斗(ミはから)ひ、/夫(それ)を土台下(どたいした)へひきこむ/やうにきさむの図(づ)
第六
大工(たいく)、普請場(ふしんば)へ水縄(ミつなハ)といふて四方(しほう)へ杭(くひ)を/打(うち)、麻縄(あさなハ)を引張(ひきはり)、其下(そのした)に水(ミづ)もり台(たい)と/いふて角(かく)なる木(き)にミぞのつきたるをおき、/それへ水(ミづ)を流(なが)し、地面(ぢめん)の高(たか)びくを見(ミ)る図
第七
石工が普請に使う石は、伊豆の山で石切という名の職人が石を切り出し、船に積んであちこちの石屋へ運んできた石を、石工が石の固さやわらかさや大きさ(寸法)を見はからい、土台の下に敷き込むように石をきざんで形を整える。その様子を示す図である。
第六
大工は普請揚の四方(周囲)へ杭を打ち、麻縄をぴんと張る。これを水縄という。その水縄の下に水盛台という名前の台を置く。これは四角な材木に溝を掘ったものである。水盛台の溝へ水を流し込み、地面の水平を確かめる。これはその様子を示す図である。
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画像 | 図像・事物 | カテゴリー |
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大工A | 人物 |
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大工B | 人物 |
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手伝 | 人物 |
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石工B | 人物 |
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ゲンノウ | モノ・道具 |
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ノミ | モノ・道具 |
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石材 | モノ・道具 |
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水縄 | モノ・道具 |
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杭 | モノ・道具 |
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水盛台 | モノ・道具 |
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柄杓 | モノ・道具 |
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手桶 | モノ・道具 |
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礎石 | モノ・道具 |
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縄巻き | モノ・道具 |
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水貫(遣形貫) | モノ・道具 |
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コヤスケ | モノ・道具 |
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麻縄の束 | モノ・道具 |
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印半纏A | よそおい |
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印半纏B | よそおい |
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三尺帯 | よそおい |
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股引 | よそおい |
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草履 | よそおい |
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草鞋 | よそおい |
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足袋 | よそおい |
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腹掛け | よそおい |